MIMOZA WAYS
内容紹介

『ミモザウェイズ』は、歴史的・教育的価値を兼ね備えた、日本に住む女性たちがジェンダー平等を求めて歩んできた100年の歴史を描く演劇作品です。1911年創刊の女性による女性のための雑誌「青鞜」から女性参政権運動、1970年代のウーマンリブ、そして国連女性差別撤廃条約の批准(ヒジュン)を経て現代に至るまで、女性たちが直面してきた課題と、その克服の軌跡を浮き彫りにします。日仏女性の人権架け橋ミモザ実行委員会と脚本・演出のトリニダード・ガルシアと共に、4年にわたるインタビューと調査を行い、フランス語で執筆され、日本語に翻訳されました。映像、音楽、ダンスを駆使し、フランス的ユーモアを交えながら、女性団体や研究者の監修を受けて、書き下ろしされました。
公演実績
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初演:2022年 京都
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再演:2023年 東京・福岡
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朗読公演・映像上映会・ワークショップ・講演会:日本各地で多数開催
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2020年 赤松良子ジェンダー平等基金採択事業
第1幕 現代
左から、ユミ、ケイコ、マリ。フランスの空港で、日本への帰国便を待っています。

舞台は、2020年。コロナウィルスが世界を遅い、フランスではロックダウンが発令されました。フランスパリのシャルル・ド・ゴール空港で、多くの人々が日本に向けて、乱れた帰国便を待っています。そんな中、日本への帰国便を待っていたケイコ、ユミ、マリの3人。
コロナ禍で、強制的に帰国という状況の中で、それぞれの事情も少しづつ語られます。過去の恋愛体験や、中絶についても・・・日本での、なかなか進まない日本における性と生殖の権利「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)」についても、語られます。
以下「ミモザウェイズ」戯曲より
『日本ではですね、避妊について、特に女性のための選択肢が知らされていないんですよ! コンドームしかないみたい! ピルは、身体に悪いかもと言われて、値段も高い。
〝翌日ピル〟とフランス語では呼ばれるアフターピルは、病院の処方箋が必要です。
中絶薬は?中絶手術と同じ費用、10万円かかる!
中絶手術は? 相手(配偶者)の同意がいる。新生児を放棄すると女性が逮捕され、犯罪者とされる。
孕ませた相手は? 責任はない!!』
ユミ:会社経営者
ケイコ:翻訳者
マリ:学生

時空を旅することをできる。これまでに生きた女性全ての集合体。私たちを見守ってくれている
リョウコは、たとえば、テレビのリモコンを持っている人です。舞台を止めたり、進めたり、意のままに操ることができます。
リョウコは現代に生きるユミ、ケイコ、マリの高祖母(おばあさんのおばあさん)たちを直接知っていて、彼女たちを100年前の時代に誘います。
リョウコについて
参考資料
「ミモザウェイズ」制作のために参考とした資料、また制作後に新たに知り得た情報も含まれています。
これらの資料は、作品の理解を深めるために、今後も更新されます。




















第2幕 1910年代
左から、ユミコ、キヨ、マチコ。1912年に明治から大正に時代は移り変わります。

舞台は、1910年、キヨの叔母が仕切る着物の仕立てやです。
以下「ミモザウェイズ」戯曲より
『1898年、明治31年、明治民法に『女性は無能力者だ』と法的に能力のない存在だと書かれていたんです。
その時代、女性が持っていた権利は、(皮肉で)
黙って聞く権利
両親が選んだ男性と結婚する権利
子を産む権利
子を育てる権利
家族全員の面倒を見る権利
そして素直に従う権利
娘時代は父親に、結婚したら夫に、老後には息子に、3人に従うという『三従に苦しむ権利!』
そのような時代に、1913年、大正2年、初めて帝国大学に女性の大学生が誕生しました!黒田チカ29才、牧田ラク25才、丹下うめ40才・・・
「いい妻」と「賢い母」という「良妻賢母」女性が影となり他人を支える存在であことが常識という社会に、疑問を投げかける女性達が現われます。その一人が平塚らいてうです。当時25歳のらいてうは恩師の勧めで、女性作家のみによる女性のための文芸誌『青鞜』を 1911年に創刊しました・・・』
キヨはマチコから読み書きを学び、二人で与謝野晶子の『そぞろごと』を朗読します。そこにユミコが登場します。なんだか怒っている?
ユミコ:政治一家に育つ。マチコの友ヤスコの母
キヨ:田舎から出てきて、叔母の仕立て屋で働く
マチコ:青鞜に憧れている。夢は外国に行くこと















第3幕 1920年代
左から、マチコ、ユミコの娘ヤスコ、キヨ。

スクリーンには、キャストの影とその時代の映像が交互に映し出される。映像の合間には、1910年の登場人物たち、そしてその次の世代の女性たちが交わした手紙の抜粋があり、それによって、その後の彼らの物語や、歴史の出来事を知ることができる。
マチコとキヨの手紙のやりとりの中で、ユミコの娘ヤスコに出会う。
マチコ:与謝野晶子のヨーロッパ旅行の足跡をたどる
ヤスコ:政治一家に育つ。朝鮮出身の男性に恋をする
キヨ:叔母の仕立て屋で働きながら、読み書きを学ぶ





第4幕 1970年代
左から、リョウコ、キミコ、マリコ、ユカ

1970年代、世界各地で、若者たちによる革命が勃発。親世代の因習にとらわれた教育に疑いを持ち、新しい世界を夢見ています。ベトナム戦争がアメリカ、そして日本の革命の勢いを加速させました。この革命の中で、女性による別の革命、ウーマンリブ運動が起こりました。
「ミモザウェイズ」には、70年代の輝く女性たち、
ウーマンリブを象徴する存在のひとり、マニフェスト「便所からの解放」を書いた田中美津さん、
「中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合」ピル解禁を求めてピンクのヘルメットで闘った榎美紗子さん、
ベティ·フリーダンやケイト·ミレットのようなアメリカの女性作家に触発されて、女が自らのセクシュアリティ、人生を語る雑誌を作りたいと、1973年に5人の女性たちと、1万部発行の雑誌『女·エロス』を発行した
舟本恵美さんなどの話題が次々登場します!
選択的夫婦別姓についても語られています。
キミコ:「私の婚約者を見てよ。結婚する時には、私の苗字を選ぶって言ってくれてる!」
ウーマンリブの合宿で出会った三人
キミコ:看護師
マリコ:大学生、父とフランスに暮らす
ユカ:ジャーナリスト










第5幕 1990年代
左から、ヤエ、キクエ、マイ、

ハワイで出会い、母たちが友人と知る。
ヤエ:自分のルーツの朝鮮について学ぶ研究者
キクエ:外資系企業で働く社会人
マイ:ジャーナリズムを学ぶ学生
1985年、日本では国連の女性差別撤廃条約(CEDAW)に批准(批准)するために
・父からだけではなく、両親から国籍が継承できるように、国内法を改正しました。
・学習指導要領を改訂し、女子も男子も、家庭科が必修となりました。
・そして、仕事場で、男女が平等に扱われるという、男女雇用機会均等法が制定されました。
すごいでしょ! もちろん紙の上だけど。現実はもっと複雑です。
90年代、女性たちは革命を続けていました。〝静かな革命・Vi s a カード〟の革命とでも言いましょうか。この時期、3つの家系の子どもたちのつながりは切れてしまっていました、が、偶然にも、ハワイにあるリゾートホテルのプールサイドでいっしょになり、すぐに母たちが友人であったことがわかり・・・
第6 幕 最終章・現代に戻る
左から、ユミ、ケイコ、マリ

ユミ:会社経営者
ケイコ:翻訳者
マリ:学生
みなさん一人ひとりの中に埋もれている大切なものに、
勇気を持って明かりを灯してみてください。
元文部大臣の赤松良子さんも仰っていたように
小さく産んで大きく育てよう!